Entries

「ジャカルタの『子どもの本祭り』」

ジャカルタの「子どもの本祭り」

大法輪 2005年9月号

末吉暁子


この七月にインドネシアのジャカルタで開かれる「国際子どもの本祭り」に参加することになった。

自分の童話作品を、ペープサートという紙人形劇にして上演する予定だ。


最近、国内でもときどき上演したことはあるが、子供達は、本でおなじみのキャラクターの紙人形が動くさまを、目を輝かせて見てくれる。

それがうれしくて、こちらもついついしゃしゃり出て行く気分になるのである。


日本で上演するときは、かかわりのある周囲の人たちを巻き込んでお手伝いしてもらうので、何とかうまく行っていた。

しかし、今度はインドネシアである。

そうそうボランティアが同行してくれるはずもない。たまたま同行することになった夫をかり出すほかはない。

さらなる問題は、インドネシア語の通訳を介さなくてはならないことだ。

幸い、これは、現地にいる日本人ボランティアが買って出てくれた。

しかし、現地に行ってリハーサルをして見るまでは、どんなことになるのか、見当もつかない。


もともとこのイベント、スマトラ沖の地震で大きな被害をこうむったアチェ州で行う予定だったらしい。

だが、現地の復興は思わしくなく、開催のめどが立たなくなっていた。


そこへ世界中から援助の手が差し伸べられ、場所を変えてジャカルタで行うことになったのだそうだ。

日本からもいくばくかの寄付金が届けられたと聞くし、日本だけでなくアメリカやシンガポールなどの近隣諸国からも、さまざまな形で公演への参加があるという。

私も、主催者が知り合いのインドネシアの女性だったので、何か応援できることはないだろうかと申し出たのが発端だったのだが、いざ日程が近づいてみると、いろいろ準備も大変だ。

事実、こんなことをしていないで、机に向かっていればいいのに・・と、しらけた目で見ているもう一人の自分がいるのにも気づいている。

目を輝かせて見入ってくれた日本の子供達と同じように、インドネシアの子供達が喜んでくれれば、そんな危惧も吹っ飛んでしまうのだが……。      

「ぶっとんだものをつくりたい」

次世代に語り継ぎたい傑作がある

児童文学を育んだ女性作家たち 
Series 5 末吉暁子 より抜粋

MOE 2007年7月号
取材・文/南谷佳世 撮影/木野聖二


MOE-89-800(1.jpg
『ざわざわ森のがんこちゃん あたらしいおともだち』(講談社)より。武田美穂絵。

テレビのキャラクターも武田さんがデザインしているので、イメージぴったりの挿絵。



・ぶっとんだものをつくりたい


じっくりつくりあげる本とは対極にある、テレビの世界でも末吉さんの物語は大ヒット。

脚本を手がける『ざわざわ森のがんこちゃん』は、NHK教育テレビで10年を超える長寿番組であり、小学校の道徳教材としても使われています。



末吉「私は逆にアンチ道徳的なことばかり書いてきたでしょ(笑)。

幼年童話は、子どもをのびのびと解き放してあげるようなものでないと面白くないから。

だから文部科学省の徳目に合ったお話なんて、私の仕事ではないですって最初はお断りしたんです」。


MOEの取材のために注文してくださった、東京・大田区の洋菓子店(木いちご)特製がんこちゃんケーキ。かわいさもおいしさも抜群。
MOE-88-800 (4)


けれども、熱心に説明されるうちに、次第に心が動きました。


末吉「よくよく考えると、道徳ってコミュニケーションだな、と思って。

自分をだいじにする、安全に気をつけるとか、いのちの問題にもかかわる、根本的なことなんですよね」。


『ざわざわ森のがんこちゃん』の脚本(左・中)と学校での指導の手引き(『学校放送』)。
MOE-88-800 (2)

それまでの番組とはまったくちがう、「ぶっとんだ」ものをつくりたい――そんな思いから誕生したのが、恐竜のがんこちゃん


末吉「ほとんどうちの娘のちっちゃい時がモデルです。ねぼうはするし、なまけるし(笑)。

あんまりいい子ちゃんにしたらつまんないから。子どもの願望そのままの、素直な主人公にしたかったんですよね。

女の子だからって、性格を限定したくなくて。

それで家事の得意なお父さんと力持ちのお母さんというふうに、役割を逆にしてるんです」。


仕事部屋の本棚は著作や資料などでぎっしり。写真下方の棚に並ぶのは『ざわざわ森のがんこちゃん』の脚本。
MOE-87-800 (2)

がんこちゃんと仲間たちは、今や日本中の人気者。


末吉「10年も続くと、どんな田舎へ行っても子どもは知ってるんですよね。そこが本とまったくちがう。

でも、テレビは1回放送したら消えちゃうけど、本はずっと残るし、いつでも手に取ることができるから

本にしたいって最初に言ってくださったのは、NHKのディレクターの方だったんです」。


そういうわけで「がんこちゃん」は、幼年童話と「テレビ版」の2種類の本でも楽しめます。


がんこちゃんと仲間たちのぬいぐるみがずらり。
MOE-88-800 (5)


末吉「テレビは、私の脚本がもとではあるけど、短期間に百人近いスタッフがかかわってつくる協同作業なんですよね。

本は編集者と絵描きさんと作家で、じっくりつくっていくもので。

でも、私にとっては面白いストーリーをつくるという、意味では同じなんですよ。

本はテレビみたいに瞬時に反響が返ることはないけど、やっぱりこれからも、書いていきたいですね。自分なりの素材を見つけて、ファンタジーを」。

「作家に聞く 末吉暁子さん」 

「作家に聞く 末吉暁子さん」 

2000年4月27日
毎日小学生新聞 


――子供の頃はどんな本を読んでいましたか?

末吉:アンデルセンの童話や世界の名作童話とか、ファンタジーがすきでしたね。

本を読むのは大好きでしたが、自分で書 くようになるとは思っていませんでした。


――児童文学を書くようになったきっかけは?

末吉:わたしは講談社の児童図書出版部で創作童話を担当していましたが、結婚して子どもができたので、退社して、フリーの編集者になりました。

その頃、担当していた「コロボックル物語」の作者、佐藤さとる先生が「末吉さんも書いてみたら?」とすすめてくださったのです。

その言葉にすがるような思いで、短い作品を書いて佐藤先生に読んで頂きました。

思いがけなくほめていただいたので、すっかりまいあがってしまったのが、子どもの本を書くようになったきっかけです。

このときの短編を長くしたのが、『星に帰った少女』です。

書きなおしに時間がかかってしまったので、その間に書いた『かいじゅうになった女の子』という本が先に出版されました。


――『がんこちゃん』シリーズはどのようにして生まれたのですか?

末吉:まずテレビ向けに脚本を書いて、その後、単行本にしていただきました。

がんこちゃんの世界は、超未来のお話なのです。

人類が絶滅したあと、遺伝子操作で生き返っていた恐竜や、たまたま水辺に生き残っていた動物などが登場人物です。

ドーナツ沼の真中の小学校は、人類が燃えないごみの捨て場所にしていたところです。

がんこちゃんたちは、砂漠の廃虚にすんでいましたが、水がなくなったので、ざわざわ森に引っ越してきたのです。

環境問題などがいっぱいつまったお話なのですが、子どもたちには、お話のおもしろさを味わってもらえればいいと思います。


――古代史や民俗学、英語など、いろいろな分野の勉強をしていると聞きましたが 。

末吉:好奇心が強いので、知らないことを勉強するのがすきなんですね。 

2年前に出版した『雨ふり花さいた』は、東北の座敷わらしの話ですが、同人誌に5、6年連載して、本にしたものです。座敷わらしが出るという旅館にも泊まりました。 

また、古事記や日本書紀の世界を題材にした 『地と潮の王』は、書き始めてから出版までに15年近くかかりました。

日本の古代を舞台にした少年の冒険物語で、とても長いのですが、小学生でもいったん読み始めれば一気に読めてしまうといわれます。


――小学生たちに本の選び方のアドバイスを。

末吉:おもしろそうだなと自分が思ったものを読めばいいのでは? 

たとえ、大人からすすめられたものでも、おもしろくなければとちゅうでやめてしまっていいのです。

そうやって選んでいくうちに、きっと自分の好きな本に出会います。

「がんこちゃん」

「がんこちゃん」

平成16年4月3日 
静岡新聞夕刊コラム「窓辺」第1回 

末吉暁子


NHK教育テレビの人形劇「ざわざわ森のがんこちゃん」の脚本を書くようになって、9年目になる。

当初この仕事をお引き受けしたときは、まさかこんなに長くお付き合いする事になろうとは夢にも思わなかった。どころか、この番組は、 小学校1年生の道徳の授業で教材としても使われると知って尻込みしたほどだった。

幼い子供には、できるだけ教訓やお説教などを押し付けることなく、お話そのものの面白さを楽しんでほしいというのが、 子供の本の作家としての私の願いだったからだ。しかし、授業の中で見せられるのなら、いっそ、子供たちが15分間、 夢中になって見てくれる面白いお話を作ってみようと思うに至った。 元気な恐竜の女の子がんこちゃんは、幸い、子供たちに受け入れられたようだ。

「うちの子が『がんこちゃん』が大好きです」というお母さんにもよく出会う。テレビの影響力の大きさを実感する瞬間である。

子供達にはまずお話そのものを楽しんでもらいたい。とはいえ、昨今の子供達はきびしい環境にさらされている。

今年度は、特に「誘拐」や「連れ去り」に対する備えを盛り込んだお話も作る事になった。言うまでもなく、 最近、頻発する幼児連れ去り事件を考慮してのことである。

お話の中では、「めでたしめでたし」で終わらせるのは簡単だが、現実には悲惨な結果となる事もしばしばだ。悲しい事だが、 子供たちも無防備ではいられない。そんなメッセージが、「がんこちゃん」を通じて子供たちに届くだろうか。いや、 現実生活で子供たちがそんな事態に出会わないですむ事を願うばかりだ。

「ひと目で心をつかんだウサギちゃんの魅力」

「ひと目で心をつかんだウサギちゃんの魅力」

2003年6月28日
毎日新聞EDU

末吉暁子

patbunny1.jpg

☆:パット・ザ・バニーと出会ったのは?

末吉:2001年4月初め、イタリアのボローニャで開催された児童書フェアです。広い会場を回ってくたびれかけていたとき、たまたま、バニーのぬいぐるみと絵本が目に入りました。

色彩の洪水の中で、オアシスのような感じでしたね。思わず、一緒にいた講談社の編集者と「かーわいい!」と叫んじゃいました。

その場で、相手の出版社と話しました。

バニーちゃん自体は、もう60年も前にアメリカで誕生していたのですが、出会ったのは、そのときが初めてでしたね。

☆:ずいぶん昔ですね。

末吉:原作者のドロシー・クンハートさんが、ご自分の娘さんに手作りのしかけ絵本を作ってあげたのが最初らしいですが、赤ちゃんの心をくすぐる魔法のしかけが潜んでいたんでしょう。全米でロングセラーになって・・。

その後は、娘さんのエディスさんが続編を作っています。猫や犬が主人公になったりね。

☆:出会ったのが2001年で日本版の出版が今年の3月。ずいぶんと時間がかかりましたね。

末吉:アメリカでの版元が変わったり、編集者が部署を変わったりと、いろいろあったのですが、去年の秋からパタパタと決まったんです。

原文に忠実というよりも、日本語としてのリズムや語感を大切にしました。パット・ザ・バニーのパットは、名前じゃなくて、親愛の情を示して、ポンポンとかパタパタたたく意味なんですって。

☆:とくに魅力をあげるとしたら。

末吉:なんといっても絵本の作りがいいですね。イラストは素朴でむしろ素人っぽいですが、ノスタルジックで暖かく、とっても癒されます。

色彩も基本となるのは、ピーチピンクと薄いブルー。あとは極力おさえていますよね。

しかけもシンプルなんだけど、かがみがあったり、お花の香りをかぐ事ができたり、ふわふわの毛にさわったりと、子供達の感覚を刺激しますからね、大喜びします。もちろん、ぬいぐるみもかわいいです。

☆:どんな風に楽しむのですか。

末吉:お父さんやお母さんもバニーをパタパタしたりして、赤ちゃんと一緒に遊んでほしいな。

たとえば、お父さんのあぐらの中に赤ちゃんを座らせて、絵本でおひげのざらざらを触ってから、お父さんのほっぺたを触ってたしかめたりと・・。

もう少し大きくなったら、英文を読んであげるのもいいんじゃないでしょうか。

Extra

プロフィール

catonbooks

Author:catonbooks
児童文学作家 末吉暁子の世界へようこそ!
公式HP「末吉暁子童話マップ」(01~16年)を元に、ちょびっとずつ公開。暁子さんの日記などは大体そのまま掲載しております。
猫とファンタジーを愛した作家の部屋へ、どうぞお立ち寄りくださいね~☆byりさ

アクセスカウンター

最新記事

カレンダー

11 | 2018/12 | 01
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索フォーム

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: