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「子供の本の世界大会 」

「子供の本の世界大会 」

平成16年6月5日 
静岡新聞 夕刊コラム「窓辺」第10回 

末吉暁子 
  

1年おきに世界各地で催されるIBBY(国際児童図書評議会)の大会に参加するのは、大きな楽しみの一つだった。
 
18年前の東京大会に初めて顔を出したのだが、子供の本という共通の場に身を置く人たちとの交流は思ったより楽しいものだった。

以来、ノルウエー・アメリカ・ドイツ・スペイン・インド・スイスなど、加盟国の各地で開催されるたびに、追っかけみたいな気分で参加してきた。

職業別の分科会などには、高名な作家も気さくに顔を出す。経済大国も小国も、大作家も作家の卵も、同じテーブルで率直に自国の抱える問題などを語り合う。

とはいえ、私自身はほとんど観光気分で出席していただけだったのだが、少しずつ会議の内容などがわかるようになるにつれ、目からうろこがはがれるように現実が見えてきた。

例えば、先進国で翻訳出版された子供の本の率を比較した報告によると、デンマーク・イタリアは50%以上も外国の本を出版しているのに対しイギリスは4%、アメリカはわずかに1.2%である。これは'95年の数字だが、ちなみに日本は19%。全体の出版点数を見れば、まあまあの数字だろう。しかし、英米の数字を見る限りほとんど他の国の本なんて興味ないんじゃないかと思えてくる。

でも、翻訳であろうがなかろうが本を手にできる国の子供達は幸せだ。世界には、貧困や戦争などが理由で、本どころか文字すら知らずに過ごす子供達があまりにも多いのだ。同時に、そういう子供達に読書の喜びを届けるために、長年地道な活動をしている人たちが世界各地に少なからずいるのを知って勇気付けられたのも、この大会での事だ。


~~あとがき~~


日本も、あれから翻訳ファンタジー・ブームが到来しましたから、翻訳出版された子供の本の率は、19%を大きく上回っていると思われます。

日本の子供の本も、近頃はアジア諸国を中心に、ずいぶん出版されるようになったと聞きます。

しかし、なんといっても言葉の壁は大きいですね。

2004年度の国際アンデルセン賞の日本からの候補者は佐藤さとる氏でしたが、受賞したのは、またしても英語圏の作家でした。

ともあれ、今年も9月に南アフリカのケープタウンで、IBBYの大会が開かれます。

日程のおしまいごろに駆け込みで、私も参加予定です。

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Author:catonbooks
児童文学作家 末吉暁子の世界へようこそ!
公式HP「末吉暁子童話マップ」(01~16年)を元に、ちょびっとずつ公開。暁子さんの日記などは大体そのまま掲載しております。
猫とファンタジーを愛した作家の部屋へ、どうぞお立ち寄りくださいね~☆byりさ

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