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「活字離れ?」

「活字離れ?」

平成16年5月8日 
静岡新聞夕刊コラム「窓辺」第6回 

末吉暁子 


週に一度出講している女子短大でも新学期が始まった。非常勤講師として、短大一年生の創作童話のクラスを受け持つようになって、もう十四年目だ。

自分がどこかの講座に通う事はあっても、教壇に立つことなど考えても見なかった私としては、「縁あって」というしかない成り行きだった。

創作童話の実践のクラスだから、学生たちに童話を書かせたら読んで評価しなくちゃならない。時間をとられて悲鳴をあげることもあるが、基本的に好きな分野のものを読むのだから苦にはならない。

ときおりおもしろい作品に出会ったときなど、一読者として楽しんでしまう。それになんといっても、彼女達はフレッシュでかわいい。授業が終ると「先生、さようなら!」と手を振ってくれたりする。

自分が学生だったときのかわいげのない態度を思い返せば、天国みたいなものだ。

でも、ここ数年、たしかに学生達は様変わりしていると思う。

まず、童話より絵本を作りたいという学生が増えた。絵本はもはや、幼い子供のためだけのものではなくて、若い人にとっても非常に魅力的な表現形式らしい。文章よりもまず画像なのだ。

イラクで人質になった若者も、劣化ウラン弾による汚染状況を調べて絵本にするためにイラクへ行ったと聞く。

ノンフィクションでも童話でもなく、なぜ絵本? と、私は素朴な疑問をもったものだが、若い世代にはたしかに絵本が、今いちばん感性に訴えかける表現形式なのかもしれない。

新聞の記事からヒントを得て童話を作るという授業もやるのだが、学生達が切り抜いてくるのは、写真だけだったりして驚く。つまりは活字離れなのかもしれない。


~~あとがき~~


新聞記事のスクラップは、自分でも何十年と続けている習慣です。もともと、自分が面白いと思った記事ですから、ときおり取り出して読み返したりすると、これが実に面白いのです。
 
しかし、驚くのは、昔の新聞の活字がとても小さいことです。こんなに小さい字を昔の人は読んでいたんだ! と驚くばかりです。
 
誰でも年をとると、細かい字を読むのがしんどくなるものですが、ひょっとすると、年齢に関係なく、現代人は、昔の人より老眼になっているのかもしれません。

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児童文学作家 末吉暁子の世界へようこそ!
公式HP「末吉暁子童話マップ」(01~16年)を元に、ちょびっとずつ公開。暁子さんの日記などは大体そのまま掲載しております。
猫とファンタジーを愛した作家の部屋へ、どうぞお立ち寄りくださいね~☆byりさ

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