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『ふしぎな八つのおとぎばなし』、『夜の小学校で』

『ふしぎな八つのおとぎばなし』
ジョーン・エイキン 冨山房

『夜の小学校で』
岡田淳 偕成社

MOE 2013年5月号掲載 
書評・末吉暁子


ジョーン・エイキンといえば、『ウィロビーチェイスのおおかみ』のような手に汗にぎる冒険物語から、『とんでもない月曜日』など、ピリッとスパイスの効いたナンセンス・ファンタジーまで、生涯で百冊以上もの童話や小説を遺して'04年に亡くなった英国屈指のファンタジー作家だ。


そのエイキンの新刊『ふしぎな八つのおとぎばなし』は、なんとまあ贅沢なコラボレーション!

国際アンデルセン賞画家賞など数々の賞に輝く絵本画家、クェンティン・ブレークのオールカラーの挿絵付きだ。

2013MOE-5-A.jpg

八つのお話は、おとぎばなしというだけあって、姫や王子や魔女が登場する架空の国の架空の時代が舞台なのだが、そこはエイキン。

乾いたユーモアと遊び心に満ちた極上の物語ばかり。

なにしろ、香り玉をなくしたお妃が、持っていった者にかける呪いときたら、「一週間に一度ピンクのヘビになりますように・・・・それから、いつも定期券をなくして、コンタクトレンズを入れるたびに落としますように。・・・」などという、時代設定など無視したとんでもないものなのだから・・・。


火星人が、邪魔になった怪獣や恐竜を地球に捨てる話もあれば、宇宙がひとつにまとまるはるか以前、惑星をボールに、星座をゴールにしてサッカーに興じていた天使たちの壮大な話もある。

艶のある上質の紙の頁をめくりながら、時空を軽々ととびこえて羽ばたくエイキンの自由奔放な想像力の世界を味わうのは至福のひと時だった。


ふしぎなお話のてんこ盛りという点では、こちらも負けてはいない。

岡田淳さん描くところの『夜の小学校で』

ただし、こちらは、時間的にも空間的にも「夜の小学校」限定だが・・・。

2013MOE-5-B.jpg

小学校の図工専任教師として38年間勤務した経験を持つ岡田淳さんは、在任中から、小学校を舞台にした数々の傑作ファンタジーを発表している。

これも小学校を舞台にした連作短編集だ。


桜若葉小学校というところで夜警の仕事をすることになった若者が出会うのは、なぜか校舎にもたれて座り込んでいる巨大な男だったり、とつぜん夜警員室に入ってきてスープを作ってくれるウサギだったり・・・と、どれも"ありきたり"じゃない発想とたくらみに満ちていて、夜の小学校では本当にこんなこともあるかもしれないと思えてくる。

すべてのふしぎの源、中庭のクスノキは、同じく桜若葉小学校を舞台にした前作『カメレオンのレオン』にも登場する。

こちらも読んでみると楽しいと思う。

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児童文学作家 末吉暁子の世界へようこそ!
公式HP「末吉暁子童話マップ」(01~16年)を元に、ちょびっとずつ公開。暁子さんの日記などは大体そのまま掲載しております。
猫とファンタジーを愛した作家の部屋へ、どうぞお立ち寄りくださいね~☆byりさ

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